トラウマと依存症 ガボール・マテのビジネスリーダーとの対談

活動仲間の安納けんと鈴木重子の影響で、トラウマや脳科学に関心を持つようになった。自分がトラウマを抱えていたことを自覚するようになるできごとがあったり、addiction(依存症)を専門とするカリスマ医師ボール・マテの話がものすごく響いたり。

社会のあらゆる問題が個人と社会的なトラウマと密接に関係があるのではないかと考えるようにもなった。戦争、独裁政権、いじめ、DV、家庭内暴力、あらゆるハラスメント、息苦しさ、精神病、環境破壊までが、トラウマを理解せずには解決できないと思い始めた。

以前投稿した「パワーと中毒、精神病、子育てとトラウマ by ガボール・マテ」と「【海の本音】自分のトラウマと鬱病から気づいたこと」の続きとして、けんさんにものすごくおすすめされたガボール・マテの動画を紹介したい。

この動画はGenius Networkというビジネスリーダーの集いで、依存症についてガボールが起業家ジョー・ポリッシュと対談しているもの。

Joe Polishは、Entrepreneurs(起業家)のための世界最高レベルのグループであるGenius Network®の創設者です。毎年開催されるGenius Network Event、Genius Network (25,000ドル)、100k (100,000ドル)では、世界で最も成功している起業家たちが参加しており、世界で最も影響力のあるコネクターの一人として知られています。

Joepolish.com

動画は日本語の字幕もあるから、ぜひ見てみて。

僕がとったメモは動画の下に訳して書いてみた。

それもよかったらcheck it out!

ガボールのTEDトーク「TED ガボール・マテ 依存の力、力への依存」もおすすめ!

字幕ボタンを押すと日本語が字幕が出てくる

僕にとっては、ガボール・マテの話は、人類が直面しているあらゆる問題を解決するために不可欠な新しい視点だと感じている。人を苦しませている「常識」を書き換えて、より現実を反映した新たな「常識」にアップデートするということ。

トラウマというと、一部のかわいそうな人たちの問題と捉えられがちだけど、ガボールなどによるとトラウマは現代社会に蔓延している社会的現象。

トラウマと依存症や中毒は密接につながっている。

そして、依存症が問題なのではなく、依存症となっている行為で和らげようとしてるトラウマや耐えきれないストレスに着目することが重要。

依存症というと、お酒や薬物と連想しやすいけど、買い物、ゲーム、SNS、仕事中毒、ギャンブルや投資、セックスも依存症として社会に蔓延しているより身近なもの。

トラウマや依存症、子育てと社会の構造などについて、みんなともっと理解を深めてそれぞれの癒しと人類のより平和な未来を育んで行きたい。

以下のメモは、動画からほとんどがガボールの言葉をそのまま訳したものだけど、僕の解釈(どうせ翻訳したものは必ず解釈が入る)や補足も混じっているよ。[]は僕が文脈のために付け足した言葉。

メモの中ではaddictionを依存症と訳してみた。中毒って言葉もたまに使っている。


Joe Polish

「みんなの中でどれだけの人が、依存症をかかえている人を知っていますか?」

何が変わる必要があるかというと[依存者ではなく]、私たちの依存に対する考え方です。

依存症は誤解されています

罰で痛みを抱えている人を更生させることはできません

Gabor Mate

アディクションは複雑です

[依存症は]不快感を一時的に和らげるような行動です

長期的には悪影響を受け、やめられなくなります

例えば、ギャンブル、セックス、インターネット、フェイスブック、買い物、食事、仕事

自分の人生の中で依存症を経験したことありますか?

短期的には何が得られましたか?

(会場から)「安心感」 「支配感」 「愛」 「不安や孤独感からの逃避

痛みの緩和、コントロール感、孤独感や不安からの解放 → 心の平和

依存症があなたの問題だったのではなく、依存症になった行為をとったのはあなたがその問題を解決しようとしたものです

では、なぜ私たちはこんなにも痛みを抱えているのか
なぜ痛みがあるのか

現代における依存症の定義

法的定義:[薬物]依存は人が「選択」した行為で、罰っして更生させる必要がある

医療的定義:遺伝性の脳疾患

これらは誤解です。
[何かへの依存は] 人生の問題を解決するための試みです

依存症は痛みで始まり、痛みで終わる

ガボール「私の依存症の一つは仕事です」

*海補足:がボールが胎児の時に、ナチの軍隊がユダヤ人を逮捕していて、母が日々怯えていた話
私が世界で受け取ったメッセージは、世界は私を必要としていないということです。

母は恐怖の中にいて、不幸で、落ち込んでいました。子供はナルシストなのでそれを個人的に受け取り、世界は私を必要としていない。

だから、必要とされるための一つの方法は、医者になることでした。
[医者であれば]誰もが常にあなたを必要としています

人は皆、必要とされたいと思っているので、それを得るための行動は非常に中毒性があります。例えば、セックスなど

依存者を懲罰ではなく、思いやりで手当てしましょう


刑事司法制度は、問題のある人を罰しています。
そして、どういう依存行為を罰するかは恣意的です。

ヘロインは違法ですが、[合法ドラッグとされる]同じ量のタバコとアルコールを摂取した場合、30年後にはタバコとアルコールの方がより不健康な状態になります。

なぜアメリカの住民は依存症や自殺の割合が高いのか?

彼らはタバコやアルコール、幻覚剤を植民地支配される前から使っていました。

彼らは、依存症にならずに儀式的にそれらの薬物を使っていました。現実逃避のために使っていたのではなく、より深い意識に入るために使っていました。なので、現代の彼らが直面している高い依存者率は、遺伝の問題ではありません。

彼らが依存症になっているのは、彼らがほとんど絶滅に追い込まれ、多くの辛い体験を何世代も受け続けたからです。

すべての依存症はトラウマから始まります

医者は心の傷についてのトレーニングを受けていません。
[依存症を扱うとき]医者は根源的な問題を扱わず、行動的な症状だけを扱っています。

ADDはトラウマへの反応である

なぜ、多くの人がコカインやマリファナを使うのか。それらは覚醒作用がありADDの治療薬だからです。医者に行けば、ADDの治療に何らかの覚醒剤を処方されます。

ADDの症状としてみられるボーッとした感じ、チューニングアウト、なぜ心はそんなことができるのか?

ストレスの多い状況では、[交感神経が活性化され]「逃げる」「戦う」「助けを求める」行動をとろうとしますが、[幼少期など]「逃げるには遅すぎる」「反撃するには弱わすぎる」「助けを求める人がいない」となったら、どうしますか?

あなたの脳は、体験している苦痛に対処するために解離モードに入るでしょう。
解離は、苦痛に対する適応反応です。

幼い脳は急速に発達しているので、大きな影響を受ける
最初は[ストレスなどへの]適応として始まり、やがて問題となっていく

[近代] 親のストレスが増大しているため、ADDの子供は急速に増加しています

私は、買い物依存症とワーカホリック(仕事中毒)です。

片方の依存症が、もう片方の依存症を支えてしまってます。
一生懸命働くから買い物をする。

あなたの家族に依存症をかかえている人がいたら、合理的な反応は
1。一緒にいると、ストレスがたまりすぎて耐えられないから、残念だけで離れること
2。または、依存症になるほどの痛みをかかえている事を理解しているから、一緒にいて支えることです

非合理的な反応は、その人と共にいながら、その人を変えようとしたり、強要したりすること

トラウマはあなたから始まったわけではありません。
何世代も受け継がれてきたもの。

家族の中に依存者がいるのなら、その人にこう言ってください「ありがとう。あなたが繊細な人であるから、私たちの家族に存在するトラウマを見る手助けをしてくれています。トラウマに取り組むことにあなたが参加してもしなくても、私たちはあなたを批判するつもりはありません。」

Addict(依存者)の語源はラテン語のaddictus、誰かに奴隷として割り当てられた人です。とても適切な言葉です。Addict(依存者)は中毒の奴隷です。

しかし、「依存者」というレッテルを貼るのではなく、その人は痛みを抱えていて、その痛みを他の方法で和らげる方法を見つけられない人間のことだと理解しましょう。

私たちの社会は「トラウマ恐怖症」であり、それは社会や政治のあらゆる場面に現れていますが、私たちはそれについて話しません。トラウマについての建設的な話し合いができていません。

私たちはいつも、自分と同じレベルのトラウマを持つ人と結婚します。
(海の解釈:僕たちはだいたい同じくらいのトラウマを持った人を引き寄せ合う)

トラウマとは自己の喪失であり、「回復」とは自分自身を取り戻すことです。
[トラウマを抱えた人を] 応援して、批判をしたり、恐れたりしないことが大切です。

無力感を感じている子供の怒りです

うつ病とは?
[英語の言葉] “depression”(鬱)とは、「押し込める」という意味です。子供は何か怖いことを経験すると、それを押し殺してしまいます。

社会には、「立派な依存症」(respectable addiction)とそうでない依存が存在するようです。
(海の補足:僕たちの社会の中で、賞賛されたり、許容されている依存症と、罰せられる依存症がある)

私のように仕事中毒だと賞賛と収入が伴い「立派な依存」と見られるが、 家族には苦しみを与えた。

利益と権力[を追い求め続けること]も「立派な依存症」です。[心の]穴を埋めるためのもので、世界や環境に深刻な影響を及ぼすことがあります。

権力中毒者によって多くの人が亡くなっています
(海の補足:戦争を起こす政治家や軍の上層部、マフィアやヤクザのリーダー、人を殺したり環境を汚染する産業の上層部など)

しかし、私たちは依存者を罰し、自己評価を依存者に投影しています。

なぜ、私たちは依存症を再発させるのか?私たちはストレスを経験して依存症になります。[依存症の人を犯罪者と扱っている] 刑事司法制度はさらに人々にストレスを与えます。

(海の補足:ストレスの対処法として違法薬物の依存症になった人を、法的に「犯罪者」と指定して、ストレスにうまく適応できない罰として、さらに多大なストレスがかかる牢屋に閉じ込めることの悲劇を彼が指摘している。)

2種類のトラウマがあります
・顕在的トラウマ(overt trauma)
・発達期のトラウマ(developmental trauma)

トラウマは自分を[自分から]切り離し、世界に対して非常にネガティブな見方をするようになります

“世界は恐ろしい場所だ”
アメリカの大統領ドナルド・トランプが言った言葉

トランプは明らかにトラウマを抱えている男です。
彼の父親はrageaholic(怒り中毒者)で、兄はアルコール依存症で死んだ。

トラウマが蔓延している社会では、このような人たちが[権力構造の]トップに立つようになってしまっています。

大統領候補のヒラリー・クリントンも明らかにトラウマを抱えている人です。

大統領選挙中に、彼女の強さをアピールするお話の一つで、ヒラリーが幼い時に子供が追いかけてきて、彼女は家に逃げ込み母親に助けを求める話があります。そこで、彼女の母は子供のヒラリーに「外に行って彼らと向き合いなさい。この家には弱者の居場所はない」と言って彼女を追い返します。

発達性トラウマは、何か悪いことが起こったのではなく、起こるべき自然な良いことが起こらなかったことから現れます。

例えば、抱きしめられたかったときに、抱きしめられなかった体験など。