【監視資本主義】気づかずに起きている深刻な問題

監視資本主義の最大の問題は、行動を監視し、予測、誘導することにある。人間の意思やアイデンティティには無関心だ。未来の行動を確実に予測、誘導、商品化し、利益を最大化しようとする。民主主義とは相容れない。

NewsWeek 一田和樹
Illustration from Truthout.org

なんどか監視資本主義について触れてきたけど、知れば知るほど取り返しのつかないことが起きている感じがする。ただでさえ、捉えにくくほとんどの人が気づいていない経済と権力の大転換なのに、コロナ禍でこの問題がいっそう取り組みにくくなっている(社会や政府がよりGAFA+Mに依存したのもあって)ことが気がかり盛り盛り(ちょっとライトにしてみた)。依存をしているから、あまりクリティカルに考えたり批判もできなくなっている傾向も感じる。

危機感を煽るのはなるべく避けたい。健康にも良くないし、活動のアプローチとしても健全じゃないと感じることが多いから。パーマカルチャーのようなワクワクする話しをした方が楽しいし。

だけど、コロナ(症状)とかより監視資本主義や気候変動のような、生活のベースになっているシステムの変化が起きていて、それがおそらくほとんどの人にとってかなり大変な状況を引き起こす流れになっていることに、声を上げずにはいられない。

これらは、もう起きている大きなパラダイムシフト。全人類が影響される次元のシステムチェンジ。短期で見れば得をする少人数の人がいるかもしれないけど、長期で見るとみんなが負ける(生活が困難になる)シナリオにしか僕には見えない(想像力不足)。

その危機感と同時に、焦っても変えられるレベルのものではないとも思っている。数十年、数百年単位の動きはそうすぐに結果を見せない。でも、向き合って、取り組めば、その希望の波紋は確実に広がっていく。それが深まりながら増えれば、子供たちの希望と健やかさには貢献できるはず。

そんなわけで、(拙い日本語で)このテーマに挑んでいる

PART 1
VPRO DOCUMENTARY ON SURVEILLANCE CAPITALISM

さて、僕の理解力と日本語力ではとても説明ができないから、まずは監視資本主義についての本を出したハーヴァード・ビジネス・スクール名誉教授のショシャナ・ズボフのドキュメンタリー。

監視資本主義の概要とどう僕たちの生活がそれに影響されているかが説明されている。

セッティングのボタンを押すと、日本語字幕が選べるよ。

ドキュメンタリーに出てくる話しで特に怖!って思った話しは以下の記事でも読める
米ターゲット社の「妊娠予測スコア」が示すビッグデータの可能性と怖さ
10代の子供達がいつ不安を感じていたり、劣等感を感じているかが特定できて、そこに上手くつけ込んでものを売るフェースブックのマーケティング戦略の話し(日本語版が見つからない)

心に残ったポイントは、いくら自分で自分のプライバシーを守る処置をとっても(VPNとか使って)、ネットの世界から離れようとしても、監視資本主義からは抜け出せないということ。監視資本主義は僕たちのリアルな社会にしっかり組み込まれている。必要なのは、しっかりこの流れを規制できるような動き、ムーブメントをつくっていくこと。

Illustration from https://blogs.ubc.ca/georgexuuu/2017/11/11/surveillance-capitalism-a-rising-issue/

PART 2
NEWSWEEK ARTICLE ON SURVEILLANCE CAPITALISM

以前はWIREDのブックレビューのリンクを貼ってたんだけど、もうちょっと細かく説明と解説がある記事を探してたら、NEWSWEEKの以下の記事を見つけた。

NEWSWEEK あなたの知らない「監視資本主義」の世界

読んでみて

以下は、僕が自分のメモとして抜いた部分

監視資本主義とは、人間行動の資本主義である。人間の行動を原材料とし、未来の行動を商品として販売する。人間の行動は測定され、情報に解体され、予測が行われる。原材料のコストはゼロである。サーバーなど原材料を収集するためのコストはかかるが、原材料の対価として支払われるものではない。牛肉をタダで仕入れられるステーキ屋のようなものだ。

「SNSでは利用者は顧客ではなく商品」とよく言われるが、そうではなく「原材料」でしかない。利用者は自分でも気づかないうちに、自分の未来をSNS企業に手渡しているのだ。また、監視資本主義は監視によって情報収集し、未来の行動をアウトプットしているため、監視できるものに依拠する道具主義と言える。人間の感情も監視できる範囲でのみ対象となる。監視社会というと、オーウェルの「Big Brother」を思い出すが、監視資本主義は市民に服従を要求するわけではなく、監視して商品化するため本書では「Big Other」と呼んでいる。

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彼らは、あなたの全ての行動(発言、いいね、フォロワー、クリック、閲覧時間など)はもちろん、あなたと同じような生活環境、過去の経験、能力、収入、性格、嗜好を持つ人物の情報を莫大に蓄積しており、そこから生まれる予測や選択肢(レコメンデーション)は正確だ。より正確な予測を行うため、より多くの情報を集めるとともに利用者の行動を誘導するようになった。その影響でSNS依存症やフェイクニュースなどの弊害が生まれた

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そしてスマートホームやスマートシティでは、住人は24時間包括的な監視システムの監視下におかれる。スマートシティにおいては、ミクロな個々人の行動から経済活動まで監視、予測し、監視資本主義企業と自治体の利益を最大化するための最適な運営を行う。

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もはやSNSを使っていない人間も生きているだけで監視資本主義に組み込まれる。人間の自由意思は考慮されないが、そこに暮らす人々はそのことを意識しないだろう。

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監視資本主義の最大の問題は、行動を監視し、予測、誘導することにある。人間の意思やアイデンティティには無関心だ。未来の行動を確実に予測、誘導、商品化し、利益を最大化しようとする。民主主義とは相容れない。

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2014年には、ツイッターを使った情報操作である企業の株価が25,000%も跳ね上がった。SNSの情報で株価を操作するための専門会社も存在している。グーグルやフェイスブックはいつでも金融市場にダメージを与えることも、特定の企業の株価を操作することもやろうと思えば可能だろう。

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監視資本主義の社会ではネット世論操作は当たり前に行われるようになり、その結果、怒りと混乱と分断が広がる。

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冨と情報が集中した結果、世論はもちろん大統領選にも影響を与えるようになった企業は見えない戦争に勝利を収めつつあると言える。

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ほとんどの人は、ネットでニュースを読み、ニュースを信頼性より利便性で選ぶようになっている(「ネット世論操作は怒りと混乱と分断で政権基盤を作る」)。政治にあまり関心がなく、関心を持った場合、支持者や政党あるいは思想に過剰に傾倒しやすい(Jason Brennan、2016年)。選挙において合理的、理性的な選択を行わない(ブライアン・カプラン、2009年6月25日)。


なんか、マトリックスのような世界だね〜

根本的には、資本主義から共生革命(共生主義?)へのシフトが必要なんじゃないかな。意識とシステムの変容。分離から共生。細分化から全体性。個から生態系。

さて、どうしようか。。。。

パーマカルチャーツアーやってるよ。