20年以上、資本主義の理解を深めながら、ギフトエコノミーを探求してきて、幾つか見えてきた重要なポイントをシェアしたい。とくに、資本主義とギフトエコノミーの関係性について。
これまでの資本主義やギフトエコノミーの記事は→【ソーヤー海の経済学】
ギフトエコノミー/ギフトエコロジーの記事は→ 【ギフトエコロジー】
まずは、文化人類学者の辻信一にオススメされた本、Humankind 希望の歴史からの学び
*以下は、英語で読んでいる本をAI翻訳した
10,000年前に問題が始まった。
一つの場所に定住して、所有物を増やし始めた時、私たちの集団本能はもはや無害ではなくなった。欠乏と階層構造が組み合わさって、それはまったく有毒なものとなった。
貨幣の発明、文字の発達、法制度の誕生など、今日私たちが文明のマイルストーンとして掲げているものは、抑圧の手段として始まった。私たちは生活が楽になると思ってお金を鋳造していたわけではなく、統治者が効率的に税金を徴収する方法を望んでいたからです。
デビッド・ヒュームやアダム・スミスのような哲学者はシニカルな見方をしています。 現代の資本主義、民主主義、法の支配はすべて、人々は利己的であるという原則に基づいています。。。
いくつかのこと【人は利己的など】は、私たちがそれを信じているという理由だけで真実になる可能性があります。*
【人は利己的など】は僕が足した
*Nocebo effect ノセボ効果。人に対する否定的な期待により、本来なら起こらない悪影響を及ぼしてしまう現象。
お金は抑圧の手段として始まった
時々、「お金はただのツール。使い方次第」をアピールする人と出会うことがある。とくに、スピリチュアル資本主義系の人から。
でも、どこか違和感があって、上のHumankindからの引用がそれを言葉にしている気がする。
1。お金(とくに、政府が発行する銀行券)は、支配、効率のいい管理と搾取を目的としている。お金はある目的があって作られているもの/システム。その目的や、権力構造、哲学(分離の世界観)、エネルギーからは切り離せない。
2。お金は、ただの物質(銀行券や金貨)や良性の数字(デジタル通貨とか)ではなく、構造の中で存在するもの。金融システムの構造上、一部にお金が集まる設計になっている。大金持ちや権力者にお金が集まるのは、ルール上そうなっているから。だから、大多数の人は、一部の権力層(政治家、投資家、富裕層)に支配/搾取され続けられている。
基本的に、ほとんどの人が損をするゲームになっている。とくに、未来世代。
もちろん、使い方次第は重要だけど、抑圧的なシステムをいくら上手く使っても、抑圧的なシステムは続く。
バーター(物々交換交換)が不便だから、より効率を良くするためにお金が生まれたは、神話
資本主義教徒が唱えるこの神話は、証拠がない。
人類の歴史上、一番長く続いている経済がギフトエコノミー。
そして、僕たちの生活(酸素、食糧、水、太陽光、森林、海など)を支えているのもギフトエコノミー/ギフトエコロジー。
バーターは、金融経済と同様、自然やお互いとの分離している世界観が前提。分離してなかったら、所有も交換もできない。
ギフトエコノミーの前提は、全てがつながっている事。
家族内の経済もほとんどがギフトエコノミー。
「お金持ち」は、分かち合わない人
お金持ちが悪い人という意味ではなくて、単純にみんなと分かち合ってたら、お金持ちになれないということ。
資源を囲い込むことで、他の人より「お金持ち」になる。囲い込みと搾取をすればするほど、裕福になる。王様、天皇、将軍、教祖、組長、マフィア、財閥、富豪、富裕層、大企業などは、基本的にそのゲームの勝者。
その不平等さに不満を感じる人から、自分や資産を守る必要が出てくる。警察、軍隊、弁護士、裁判官、大手メディアや広告代理店が、その役割を果たしている。彼らの重要な役割は、不平等な社会を正当化して、「秩序」を強制すること。今流行りの新自由主義は、それを極めた思想。
不平等さを正当化するために、「富裕層は特別な存在」神話を植え付けられる。昔なら、神から選ばれた人、自称の天命が使われてきた。現在だと、「ビジネス(搾取)に長けている人」「天才」「すごい人!」などなど。そして、現在のジェフベソスとかイーロンマスクのように、憧れの対象にされる。
資本主義とギフトエコノミー
僕は、宇宙経済をエネルギーの循環とし捉えている。
全ては、エネルギーで動いている(これについては、【人新世】人類が直面しているエネルギー危機の全体像(システム思考)がオススメ)
そのエネルギーの絶妙な循環で、地球に命が誕生した。
それをgaia, pachamama, 大自然、母なる大地, ecosystem, 生態系などと呼んできた。
そこでは、全てが無料だった!
(人間以外で、お金を必要としている生物は一匹もいない)
そこに、さまざまな権力構造が生まれ、抑圧と搾取のイノベーションを繰り返し、現在は「資本主義」が人類のベストヒット!
無料で自由だった生活が、有料化され、権力者に従わないと奴隷にされたり、殺されたりと、ほとんどの人が搾取される人にならざるおえなかった。そして、その中で生まれた人たちは、それが「普通」と思ってしまう教育をさせられ、「お金がないと食っていけない」というマントラを唱えるようになった。
有料化の領域がどんどん広がり、DNAや宇宙やバーチャルの世界も搾取の対象となっている。
資本主義教に染まってない先住民も着々と殺されたり、assimilate同化され続けている。
資本主義教からは逃げられない。
かといって、資本主義教を続けることは搾取されることと、他の人や生命を搾取し続けることを受け入れる必要がある。
資本主義教徒として生まれ育った僕は、この信仰を信じられなくなった。受け入れたくもない。そして、そういう人と世界中で多く出会っている。
資本主義教から離脱
幾つか、僕が実践している資本主義教からの離脱の実験(まだ離脱はできていない)
*どれも原理主義的にやらず、しっかりと取り組みながら、無理をせず、柔軟にやることを心がけている。矛盾する自分にも優しく思いやりをもって、受け入れる。
LOW INCOME LOW CONSUMPTION
低所得者 & 低消費者として生きる。
なるべくお金を所有しない。これは、平和活動家のガンジーや多くの聖者(ブッダ、キリストなど)が唱えてきた教え。全ての動植物は、お金を使わずに生きている。一部の先住民族も未だにお金を使わずに生きている。
低所得だと消費が減って、環境破壊への加担も減るし、創造力が育ったり、人に頼って関係性に時間とエネルギーを投資するようになる。お金への依存が減っていって身軽になる。
お金の心配(口座の残高とか)はもちろんあるけど、収入が増えても、結局は心配するもんだから、自分の収入を増やす以外の方法を考える。
INVEST IN WHAT YOU BELIEVE
お金をなるべく育てたい世界に回す。
信じてない世界への投資を減らし(例えば、電気/石油の消費を減らしたり、Amazonでの買い物をやめたり)、地元の生産者のものを積極的に買ったり、素敵な活動をしている人にお金をあげたり(平和活動、若者や女性の活動、有機農家など)、困っている人にお金をあげたり。
お金や時間がたくさんあったら、どんどん育てたい世界に投資する!
SHARE
なるべく分かち合う。
パーマカルチャーのエシック(倫理)の一つがshare the abundance 豊かさを分かち合う。なるべく、私有物を減らして、共有物/コモンズにしていく。今の生活も、世界中の人にすみびらきにしていて、ほとんどのものを共有している。
これによって、自分の意識も変わるし、来る人の意識も変わっていく。
NATURE LIFE
自然に根ざした暮らしをする。
自然はギフトエコノミーの世界。それにしっかり日々触れていると、努力をしなくても意識が変わっていく。資本主義教の洗脳を unlearn アンラーンする一番効果的な手段。
UNDERSTAND CAPITALISM
資本主義の理解を深める。
資本主義について勉強して、どうやって違う世界を創造するかを日々考える。自分を捕らえている檻を知ることによって、抜け道(超越の道)が少しづつ見えてくる。
AVOID ACCOUNTING
数字をなるべく意識しない。
数字は現代社会においてものすごくパワーがあるもの。僕たちは、数字に振り回されている。テストの点数、偏差値、年収、セール、値段、統計などで、日々の選択から人生の重要な決断を決めている。ある数字が自分の存在価値として思えてしまうこともある。数字は客観的な現実を装っている、人工的な虚構。
具体的には、活動(仕事)をするときなるべく収入を気にしないでやる。なるべく値段設定せずにドネーション(寄付)でワークショップや講演をやるようにしてきて、いくら集まったかも見ないようにする(集まったお金を数えずに封筒に入れて、どこかにしまって、忘れた頃に取り出し使う)とか。
税金申告も、一応やるけど、なるべくそこへの意識の時間を減らすようにする。囚われないようにやろうとする。。。けど、自分が大切にしている在り方(&数字の世界への抵抗)と、税金ゲームの作業があんまりにも合わないから、いつもすっごくストレスで、これはまだどうしたらいいかわからない。
MEDITATION
めいそう/マインドフルネス
僕は、平和活動家のティクナットハンが立ち上げたプラムビレッジという禅寺で瞑想やマインドフルネスと出会い、ゴエンカが広めた10日間のヴィパッサナー瞑想に大きなinsight(気づき)を得られた。それぞれのコミュニティーでは、お金を目的とせずに生きている人たちが集まっていて、瞑想という非生産的な実践を通して、資本主義教じゃない世界を体現している。
毎朝、30分静かに座るようにしていて、年に一回は数日間の瞑想合宿(タイ王国のプラムビレッジや、近所にあるヴィパッサナー瞑想センター)で意識のチューニングをするようにしている。今年の年末年始は、日本人を連れてタイ王国のプラムビレッジに行く予定。
LIVE IN SERVICE OF LIFE
奉仕者として生きる
僕が大好きな言葉が moved by love 愛に動かされる。これは、ガンジーと活動していたビノーバ・バーベの自伝のタイトル。
何かを成し遂げるとか、お金稼ぎや社会的な地位のために生きるのではなく、生態系の一員である存在として、全ての命の健やかさに貢献するために生きる。外のご褒美や罰への意識を減らして、自分の中から湧き上がる愛のエネルギーに身を委ねる。
動くのではなく、動かされる。
サンフランシスコで出会ったTreeさんが、「僕は愛のチャンネルとして生きている」っていう言葉が印象的。彼は、大学生の頃から食べ物や野菜の苗を無料で提供し続けて、お金のために働いたことがない。
これがギフトエコノミーのディープな世界。つながりの世界。
自分の存在というギフトを活かして、多くの命と分かち合う。