最近の世界観と質疑応答(コロナ禍、人口問題、できること)

ハロー
お久しぶり〜
今は、パーマカルチャーの僕が感じる最先端の活動家や場所を撮影しているよ。とにかく凄い。凄い人と場所が多すぎて、すごくチャージされてきた。 any thing is possible

we can be the change we wish to see in the world
僕たち自身が、望んでいる未来をいま、実現することができる

素敵なドキュメンタリーが生まれている

さて、8月20日に行った「パーマカルチャーとエネルギー」の講義の後に、3つの質問を参加者から送られたので、答えてみたよ。

Q3)スピーカーへの質問

まず、最初に今回の講演会に参加した皆さんに感謝を改めて伝えたい。ありがとう

企画してくれたGPSSの皆様にも感謝

Thank you

そして、素敵なフィードバックや質問もありがとう

日本語で喋ったり、書いたりするのは実は苦手で(あがり症なんです)、思ったより強く物事を表現してしまったり、本当に思っていることのニュアンスや適切な言葉が見つからず、ちょっとズレた表現なったりもして、よく落ち込んでいる。でも、不思議に何かに突き動かされていて、苦手だなと思いながら20年以上このような活動し続けてきた。

全力で活動をしているものの、確信をもって「これが答えだ!」って断言できることは極めて少ない。なので、僕の言葉などを「刺激」として受け止めてもらって、共により素敵な未来を創造できたら嬉しいな。

僕のお話は、パーマカルチャーとさまざまな他の分野の内容(非暴力コミュニケーション、マインドフルネス、社会変革、ギフトエコノミーなど)を交えたものなので、元祖パーマカルチャーではなく、「ソーヤー海のパーマカルチャー」って感じで受け取ってもらえたら。

それと、僕が物事を捉えるときに、3つくらいのレイヤー*で見ようとしている

・意識

・生活 日々の暮らしや生活システム(日々接している人や環境、身近なコミュニティとか)

・システム 経済、政治、情報や教育、社会、文化、生態系とか

*サティシュクマールは、Soil Soul Society(三つのSを提唱している)。ガンジーの氷山は、意識、建設的なプログラム(生活)、サティアグラハ(抑圧的なシステムと向き合うlove in action)。ジョアンナメーシーも似たようなパラダイムを提唱している

1.こうした実践者に、コロナパンデミックはどのように見えているのか

ウェブマガジンGreenzに投稿した答え

Greenz.jp ウイルスの脅威じゃなく、日常の危機。コロナ禍の今こそ、社会のシステムを書き換えていこう。そこに希望がある。

2021年の付け足し

一番確実に言えるのは、僕には何が本当に起こっているのかが分からない。全体像が見えている確信がしない。僕の生きている間に起きた社会が一変する、911、3.11、リーマンショックの時とどこか似ている心境を持っている。

尊敬しているギフトエコノミーの提唱者のチャールズアイゼンシュタインも、確実に言えることは誰にも何が本当に起きているのか分からないことって書いてたことが印象深かった。「分からないことを受け入れて、自分の信じていることにより謙虚でいよう」。「現実」の複雑性と多様性により謙虚でいたいと思っている。

I have my opinions, but if there is one thing I have learned through the course of this emergency is that I don’t really know what is happening. I don’t see how anyone can, amidst the seething farrago of news, fake news, rumors, suppressed information, conspiracy theories, propaganda, and politicized narratives that fill the Internet. I wish a lot more people would embrace not knowing. I say that both to those who embrace the dominant narrative, as well as to those who hew to dissenting ones. What information might we be blocking out, in order to maintain the integrity of our viewpoints? Let’s be humble in our beliefs: it is a matter of life and death.

https://charleseisenstein.org/essays/the-coronation/

断片的に見えている複数の光景から言えることをポイントとしてシェアすると

・こういう時こそ、共感(非暴力コミュニケーションの定義で使っている)がものすごく大切であると思っている。協力しあって、支え合って、つながりを失わないために。同意はできなくても、共感はできる。これについてのyoutubeはここ

【コロナウィルス】こういう時こそ共感ー鈴木重子とソーヤー海の対談

・身の安全の危機を感じるとき、人は過激化しやすい(よりやさしく寛容にもなることがある)。そして、SNSは怒りや恐れを拡張する仕組みになっている。過激な発言などが広がりやすいし、利益につなげやすい。みんなの危機感とSNS(アルゴリズムとビジネスモデル)とロックダウンなどの組み合わせで、社会の不和や分断が拡大化しやすい。

・コロナ現象の大部分は経済のあり方の問題だと思う。経済活動のために環境破壊をして、そうするとウィルスの感染、病原菌、環境汚染、温室ガス排出などが悪化しやすくなる。グローバル資本主義社会のジレンマだね。人類の生存を脅かす経済を続けるか、人類の生存のために勇気をもってパラダイムシフトを起こすか。

・コロナパンデミックの前から、着々と社会の土台になり始めていた監視資本主義が、コロナ禍で確実に僕たちの生活や社会の土台となってしまった。そして、それに気づいたり、問題視している人が極めて少ない。経済格差や情報格差、影響力の格差が極端に広がってきている(Amazon, Facebook, Google, Tik Tokなど)

→参考記事 Newsweek あなあの知らない「監視資本主義」の世界

https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2020/10/post-12.php

・もう一つの気になる資本主義の怖い動きは惨事便乗資本主義。みんなの不安や混乱を利用して、ビジネスチャンスにしたり、政治チャンスにして、より多くの人が苦しんでしまう経済活動や政策が、みんなの気づかないところで起きてしまうこと。

・コロナ禍は、地球からの贈り物とも思える。僕たちがおかしいと思いながら、止められなかった加速し続ける社会、悪化し続ける環境破壊、拡張し続けないと崩れる経済システムなどを一時停止させて(厳密に言うと止まってはないが)、みんなにいかに今の社会のあり方や経済がおかしいかをあらわにして、見つめる時間を可能にして、考える余裕を与えてくれていると思うことがある。僕の先生のサティシュクマールの記事が参考になるかも。

→参考記事 Greenz 新型コロナウィルスは地球からの声。思想家、サティシュ・クマールは語る。「この危機から私たちは何を学べるのか?」
https://greenz.jp/2020/05/20/satish_kumar_covid_19/

・複合的な問題の難しさ。コロナ禍だけではなく、気候危機、経済の不安定化、民主主義の低迷と右翼系政治や過激派の流行り、監視資本主義、表土の流出などが同時に起きていること、かなり厳しいところに僕たちはいると感じている。そんな中で、みんな精一杯生き続けていることや、より良い世界のためにできることをやっていることに、僕は希望をもらっている。

・いすみ市でパーマカルチャー生活をやっていて本当によかった!と、日々感じる。人口密度が低いから、感染リスクが都会よりは低く、2700坪(月3万円)あるから広々と僕も子供も動ける。食糧生産をしていたり、周りが田んぼと畑だから、食料に困る不安はない。生活に困ったら、助けてくれる人がたくさん周りにいる。生活と精神的な余裕をすごく感じる。活動も減らしたから、娘と共にいる時間が増えた。初めての小屋も土台から建てられた。都会で暮らしていたら、または出費(お金やエネルギー)の多い暮らしをしていたら、全然違ったと思う。地球とローカルに軸を置いて、うまく工夫して暮らすと、低リスク高リターンな生活が実現できることを実感している。まさに、これがヘレナ・ノーバーグホッジが訴えてきたローカリゼーションだって体感できた。

→参考記事 世の中はお金だけじゃない。「9つの資本」で、みんなの身の回りにあるものを可視化し、“豊かな経済”へのストーリーを編集しよう! 
https://greenz.jp/2020/08/03/sawyer_kai_nine_capital/

石鹸会社のLUSHは8つの資本を導入しているらしい

→参考映画 幸せの経済学

http://shiawaseno.net

・「コロナに負けるな」「頑張れ」「コロナに勝つ」という表現にものすごい違和感がある。なぜ、勝ち負けにしようとするのか?なんで、いつも頑張り続けないといけないのか?いつになったら余裕が生まれるのか?何かと敵対するパラダイムから抜け出すには、何が必要なのか?僕たちの世界観や言葉を変えていかないと、より豊かな社会は生まれないと思う。

・コロナパンデミックが収束したら、コロナ前 (business as usual)には戻ってほしくないな~

・何が起きても、自分の生き方の軸は、Earth Care, People Care, Future Care。そして、恐れではなく、moved by love(愛に動かされること)を心がけること。軸が明確だと、どんな困難でも進むべく「道」が見つけやすい。

というようなことを考えてたりしている。

2.パーマカルチャーを実現するにはあまりにも地球の人口が増えすぎている気がしますが海さん的にこの人口問題を解決する糸口は何ですか?

また、未完成の色々な考えを書き出してみる

パーマカルチャーは一人一人が生活の中で実践する市民運動だと僕は思っている。消費者にされて、いつの間にかアウトソースしてしまった「生きる活動」(生活)を取り戻して、日々の暮らしで目指す世界を体現する道。「自立」(共立)の再定義とも言える。それは、誰でも、どこでも大体できること(都会でも砂漠でも)。

そこで、僕が重要だと思うことは

・EMPOWERMENT & IMMEDIATELY TANGIBLE CHANGE

みんな日々の暮らしの中で実践できることがある。それが、エンパワーメントになる。大きな問題(例えば人口、気候変動、資本主義とか)について考えていると、無力感を感じたり、アクションのない議論の競い合いにハマってしまうことがある(ある程度の議論にも意味はある)。パーマカルチャーは、大きな問題と向き合いつつ、できること(solution)を足元からやることを強調している。大切なポイントは、それぞれが「自分には何ができるか?」「自分にもポジティブな影響を起こすパワーがある」と実感すること。創造的に動ける人を増やす(実践的な教育を通して指数関数的な増加が起こす)。

実際、環境や社会が不安定な地域(アフガニスタンとか)で、パーマカルチャーを教えている人もこいる。厳しい状況で見捨てられた人たちが(人口が多い地域も含め)、自分たちの力で生態系と生活を再生する流れを育んでいる。数少ない女性のパーマカルチャー講師Rosemary Morrowは、特にオススメ。https://www.bluemountainspermacultureinstitute.com.au/about-us/ 災害や紛争に悩まされている地域で活動している。

・SHIFT IN CONSCIOUSNESS THROUGH PRACTICE

自然の循環を生活に取り入れることによって、自然に生かされている実感が湧いてきて、意識が深いところで変わり始める sense of wonder。それは、左脳(論理的な思考)だけでは行けない領域だと思う。よく、僕の周りの活動家が唱えるのはHead(頭)Heart(心)Hands(手)で学ぶことの大切さ。理論や論理だけでは、僕たちが探し求めている「答え」には行き着くことは難しいと思う。ホリスティックな世界観とアプローチが不可欠だと信じている。

Plus its more fun! 暮らしの創造者になって、自然に生かされている感じがあると、心身が満たされ始めて、その状態から人類の問題を考えると、色々インスピレーションが湧いてくる。

REGENERATION

暮らすだけで、自然環境や地域コミュニティを再生し始めたら、それはかなり革命的な流れだと思う。今、一般的に議論されているのは、破壊の量をどう減らすか(軽減)。破壊の量を減らしても、破壊は続いていることになる(温室ガスの排出を減らしても、温室ガスの総量は増え続けている)。破壊的な生活から再生型な生活に一人でもシフトしたら、それは人類にとってかなりのインパクトだと僕は思う。

PART 2 「地球の人口が増えすぎている」について

「地球の人口が増えすぎている」という話は、僕の中では結構複雑なテーマだと感じている。簡単には、答えられないから、僕が気になっているポイント(また断片的なもの)を書くと

・誰が、何を基準に増えすぎていると評価しているのだろうか?

・人類の人口はおそらく誰かがコントロールしているものではないから、時には増える流れができて、どこかのタイミングで減る傾向になり(死者が増えて、出産が減る)、また増えていくものではないのかな?増えすぎたら、減らざるおえない。格差があれば、立場が悪い方から減っていく。分かち合いが減れば、さらにそれが悪化する。教育と貧困の撲滅は効果的だとよく読む。

・人口増加の流れを大きく影響しているのは、経済や農業を含むエネルギーと人間の関係(化石燃料がわかりやすい)。おそらく、土地に根ざしたローカルな暮らしを営めば、人口が支えられる環境キャパとよりバランスをとる(生態系のフィードバックをダイレクトに受け取れるから)。

・環境のCarrying capacityの話の場合、一番資源の消費をしているのは、人口が減少しつつある先進国の中上流階級の方々。つまり、人口の問題よりも、一人当たりの地球資源の消費量を見つめることが大切だと思う。この場合、消費は買い物の消費だけではなく、ビジネスとして、利益を増やすためにどれだけ地球資源を搾取したり、環境破壊をするかがポイント。化石燃料事業、大規模用牛産業とか。

→ 参考記事 The Guardian Population panic lets rich people off the hook for the climate crisis they are fuelling by Paul Monbiot

例えば、AMAZON.comの会社としての地球環境への負荷は膨大(より多くのものを作って、ゴミにして、世界中で輸送して、巨大なITインフラに必要なエネルギー消費を続けて、など)だと思う。そこから生まれる莫大な利益を少人数が集めている。さらに、彼らは最新の脳科学や心理学の依存の研究をベースに、みんながものを消費続ける仕組みを徹底しているから、より多くの人がより多くのものを買い続ける(これについてはドキュメンタリー監視資本主義がわかりやすい説明をしている)。そう考えると、ジェフ・ベゾスのエコロジカルフットプリントと、ブラジルで家族農業を営む大家族を「人口」としてひとくくりにするのは、あまり意味がないと思う。

環境に負荷が多いエネルギー産業や輸送産業、それらに投資して儲けている金融産業、そしてビッグテック(IT産業)とかが根本的に変わることに一番レバレッジがある感じがする(抵抗も)。

システム思考の専門家ドネラ・メドウズ(「成長の限界」の著者より

・おそらく、一番環境負荷が多いのは、今の社会で「勝ち組」とされる人たち。その多くは、ビジネスで勝ってきた中高年の男性。子供や女性、低所得者やホームレスなど、セグメントとして比較すると環境負荷が極めて低いと思う。政治的、経済的な影響力も小さい。これは、特定の誰かが悪いわけではなく(ジェフベゾスとか)、僕たちが作った世界観や社会の仕組みが引き起こしている問題だと僕は思っている。僕の仲間はこれをpatriarchyとよんでいて、欧米では話題になっている。僕たちが、直面しているさまざまな問題の根源に近いものかもしれないと思って、とても関心を持っている。

簡易化した僕のpatriarchyの捉え方

始まりは自然との分離、自然を制覇しようとした時からだったと読んだことがある。

・まず最初に、みんながパーマカルチャーの実践始めることはとても重要だと思う。それと共に、社会システムに働きかけることも不可欠。これに関しては、システム思考、コミュニティオーガナイジング、ヘレナノーバーグホッジの言うビッグピクチャーアクティビズムなどが、僕の参考になっている。Society(大きな社会)に僕たちは影響されているし、影響もしている。戦略的に働きかければ、大きな社会も変わる。そしたら、より暮らしやすい未来が実現するはず。

3.地球上の資源に対し、人口が増えすぎた場合は、どうしても資源を巡った争いが起きてしまい、分ける余裕が無くなってしまうと思います。そういった環境下でパーマカルチャーの視点から考えた際、なにをするべきか、考えを伺いたいです。

・僕の理解では、多くの資源を巡った争いの根源は、権力や利益を追い求める一部の人が引き起こしているもの。

現代社会の不思議な現象としては、争いが起きている資源の多く(食料、金属類、水など)は、当たり前のように先進国で廃棄されている。例えば、僕たちは、世界中で不足している淡水(fresh water)に当たり前のようにうんちをしてどこかに流すようになってしまった(江戸時代まで都会でさえうんちを肥料として循環していたのに)。土に必要な生ゴミ(有機肥料)を、プラスチックの袋に入れて、化石燃料を消費するトラックで運んで、ほとんど水なのにゴミ焼却炉で燃やしている。現在、日本で廃棄されている食料の量はみんなの想像を絶するはず。こう見たときに、根源的な問題は人口だとは僕には思えない(人口も関係はある)。グローバル経済や僕たちのあり方(どれだけ分かち合うかとか)の方がポイントだと感じているし、アクションがとりやすい。

パーマカルチャーの倫理は、地球を大切に、人を大切に、そして、三つ目はさまざまな表現があるけど、1. fair share(格差のない、対等な分かち合い)だったり、2. 豊かさを分かち合うだったり、3. future care(次世代を大切に)だったり。これらの倫理を自分の人生の軸にしたり、会社や社会のボトムラインにしたら、自然と自分なりの答えが現れてくると思う。それを軸にしたら、ビジネスとかをせずに、共生革命家として生きる流れになってしまった。

パーマカルチャーが強調するのはabundance 豊かさ。僕は、より多くの人が資源で困らないように、できるかぎり環境を再生して、食料を植えることはできると信じている。そして、それを魅力的にできれば、より多くの人も実践し始める。その中には、地域のキーパーソン、ビジネスリーダー、政治家などもいる。彼らが、パーマカルチャー的なデザインを社会の仕組みに組み込み始めたら、更なるポジティブなインパクトが生まれる(実際、日本でそういう動きがさまざまな場所で起きている)。

パーマカルチャーの合言葉 The problem is the solution

自分の意識を変えて

暮らしを変えて

皆周りからコミュニティ、会社、社会を変えていくことが

より多くの人が豊かに暮らす

一番近道だと思っている

それと、ストーリーを変えること

人間はお話の中で生きている

資本主義も、弱肉強食も、性悪説も、ストーリー

全ての人の言動のベースとなっている

ストーリーを豊かなものに変えられたら

共生革命が起こるんじゃないかな

ありがとう

Moved by love

Kai

パーマカルチャーツアーやってるよ。