このまえ投稿した911同時多発テロから20年 – 平和活動を振り返っての追伸
911の20周年記念日はちょうどアメリカにいて、パーマカルチャーアクティビストたちと再会しながら、自分の人生や活動を振り返っていた。
久々にアメリカに戻って感じたのは、何層にも積もった抑圧とトラウマと不条理のレイヤー。そして、トランプ現象や気候変動やコロナ禍や監視資本主義の影響で、さらにみんなの心と生活とコミュニティにプレッシャーがかかっている気がした。集合的なPTSDみたいな感じかな。
シアトルでは、テック業界が立てまくっているピカピカの高層ビルの周辺には、彷徨うホームレス(精神障害者や薬物依存者が多そう)やホームレス村が目立つ。ジェントリフィケーションから見えるものすごい格差。
ビジネスの窓や住宅地の庭にはBlack Lives Matterの看板が力強く表示されている。男女の不平等さやパトリアルキー、「ここは、元々は先住民から奪った土地だ」という話もちょくちょく出てきた。
僕は、アメリカと日本のハーフだし、日本で感じていた差別から解放してくれた、アメリカ西海岸のオルタナティブカルチャーに救われたから、アメリカが大好きなんだけど、アメリカのどうしようもないくらい暴力的で帝国主義的な側面には絶望と怒りと悲しさを感じる。
とても複雑な心境
「日本」もそうだけど、「アメリカ」って言う時にどの側面を想像しているかによって、内容が全然違うようね。
最近、重要だと感じていることは、抑圧や暴力に蓋をして隠そうとしないこと。見て見ぬふりをしないこと。放っておくと、想像以上の惨事が起きてしまうから。。。実際、いつも起きているから。いじめも、パワハラも、子供を「罰する」ことも、男女差別も、沖縄の米軍基地も、移民の搾取も。。。
そんな世界観からの、アメリカ合衆国を捉え直すことの重要さ
アメリカ合衆国は、もともとヨーロッパ出身の白人(特にイギリス人)のために建国された国。細かく見ると色々複雑な、白人同士の差別と争いの歴史があるけど。アメリカ合衆国の始まりは、ヨーロッパ移民がネイティブアメリカンと呼ばれる先住民を何十年も虐殺し続けて、土地と女性と子供を奪い(ここでも児童レイプが頻繁に行われた)、アフリカ大陸から大量の人質を奴隷として売買して(ここでも児童レイプや、求めている性質を持つ黒人の男女をブリーディングをしていた)、ハワイ王国(白人によるクーデター)を勝手に合併して、軍事力と経済力でさまざまな国から資源を確保して、世界中の政府や反政府の軍や犯罪組織に兵器を売り、アメリカの産業に不都合な民主的に選ばれた首相などを潰して独裁者を支援してきた、凄まじい歴史があるからこその今の状況なんだって理解するようになった。
アメリカの「豊かさ」を支えているウラ。
アメリカだけではなく、先進国の多くの歴史とも言える。
日本も。
そして、その暴力と差別は形を変えて今も続いている。
ネイティブアメリカンは、もう存在していないかのように扱われているし(いつしか絶滅した過去の人たち)、黒人は野蛮な動物扱いから野蛮な人間扱いに進化したくらいに感じられることもある(ジョージフロイドの殺人事件がその象徴的できごと)。奴隷制度は、形を変えて黒人を犯罪者扱いしながら、抑圧と搾取が続いている(一部の牢獄は民営化されていて、囚人が多いほど儲かり、低賃金労働者として)。先住民に押し付けた条約も、アメリカ政府は頻繁に条件を破っている。
アフガニスタンの大惨事も、アメリカやソビエト連邦が冷戦に作った破壊的な流れからの今だし、イラク、パレスチナ、シリア、イエメン、リビアなどの戦争、中南米やアフリカ大陸の不安定な情勢の大きな要因も、アメリカの産業(corporate interests)と外交政策(foreign policy)によるものだと僕は思っている。
アメリカのような帝国的な振る舞いを、第二次世界大戦までアジアで行っていた大日本帝国も、今やアメリカのソフト植民地のような立ち位置だし。アメリカが存在する前からの人類の残念な流れ。
それでも、アメリカは不思議な国だよね。
人権と民主主義と多様性の象徴でもあるアメリカと、その真逆の側面。
そして、抑圧と暴力と命懸けで向き合い続けてきた、多くのアメリカ人(白人も含め)もいる。僕は、その人達にときめいて、アクティビストになった。
アメリカが好きだからこそ、好きじゃない破壊的で抑圧的なリアリティとしっかり向き合いたい。日本に対しても同じ気持ちがある。
白黒していない、
豊かさの中の闇、
そして闇の中から現れる美しい希望の鼓動
僕は、闇と光の両方を受け止めたい
闇から気づきを得て、光の一部として輝きたい
まだ、整理中でどこまで伝わったか分からないけど、読んでくれてありがとう
全ての人が抑圧から解放されて、
全ての命が大切にされる世界を育てていこう!
Moved by love
Kai
仲間で平和活動の大先輩の菊池由美さんも、911の20周年を期に記事を書いたから、check it out! 911事件から20年 「戦争のコスト」とコネプラの奇跡
参考資料
- 肉声でつづる民衆のアメリカ史 by Haward Zinn
- 白人至上主義 wikipedia
- 英語で長いけど、白人至上主義について17世紀の奴隷産業から細かく分析しているディープな記事The Invention of whiteness: the long history of a dangerous idea
- 植民地 wikipedia
- アメリカが関わってきた戦争のリスト(一部)wikipedia
- 軍需産業 wikipedia
- 軍産複合体 wikipedia
- コミュニティオーガナイジング(市民運動の方法)